2006年の新会社法施行による大改革。休眠会社のみなし解散、自己資本比率と銀行法人口座開設審査のリアル、法人が信用を得るための資本金の知られざる雑学。
身の回りの当たり前を科学的・歴史的な視点から解き明かすと、テクノロジーや文化の奥深さが一気に立体的に見えてきます。知的好奇心を満たしながら、日々の実生活に役立つ確かな知見をお届けします。
今でこそ「資本金1円起業」という言葉が当たり前になりましたが、2006年より前の日本では、会社を立ち上げることは一般人にとって極めて高い参入障壁でした。旧商法および有限会社法の下では、「株式会社を作るなら最低資本金1,000万円」「小規模な有限会社でも最低300万円」を銀行口座に用意して保管証明書を取得しなければ、法務局で登記すら受理されなかったのです。
この巨額の資本金規制は、債権者(取引先や金融機関)を保護するための「会社の体力証明」として機能していました。しかしその結果、優れたアイデアや技術を持つ若者やエンジニアが起業できず、知人から一時的にお金を借りて通帳に記帳させた後すぐに引き出す「見せ金」や「預合い(あずけあい)」といった違法まがいの抜け道が横行し、日本の経済活力を削ぐ原因となっていました。
日本の閉塞感を打破し、アメリカのようにベンチャー企業が次々と生まれる国にするため、2006年5月に抜本的な法改正が行われ「新会社法」が施行されました。この法律により、最低資本金制度が完全に撤廃され、理論上「資本金1円」であっても株式会社や合同会社を設立できるようになったのです。
同時に、新規の有限会社設立は廃止され(既存の有限会社は「特例有限会社」として存続)、取締役も従来の3名以上・監査役1名以上という大所帯ルールから「取締役1名のみ」で設立可能になりました。これにより、個人のフリーランスや一人社長が、わずか数万円の実費と印鑑だけで法人格を取得できる「大起業時代」の幕が開いたのです。
法律上は1円で会社が作れるとはいえ、実務の世界で本当に資本金1円で設立する起業家は少数派です。なぜなら、会社設立直後に待ち構えている「銀行の法人口座開設審査」において、資本金1円はマネーロンダリング用のペーパーカンパニーではないかと疑われ、審査落ちする確率が跳ね上がるからです。
また、会社設立にかかる印紙代や登記費用、オフィスの敷金などで設立初月から数百万円のマイナスになり、瞬時に「債務超過」に陥ってしまう財務上のリスクもあります。そのため実務上は、30万〜100万円程度を資本金として設定するのが一般的です。弥生のかんたん会社設立のようなクラウド支援ツールを使えば、資本金の適正額から登記書類の自動生成まで、専門家に数十万円払うことなくスムーズにクリアできます。
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